2009年06月

2009年06月18日

ちょっと重い本

やっとでました。超有名な戦略経営学者であるハーバード大学のマイケル・ポーター先生とヴァージニア大学のオルムステッド・ティスバーグ先生が2006年に出版した"Redefining Health Care: Creating Value-Based Competition on Results"の日本語版(医療戦略の本質:価値を向上させる競争)。予約購入で先日私のところに届きました。ちょっと重いと言えば重い(626ページ、内容も軽くありませんよ!)ですが、夏休みにじっくりと時間が取れる方々に是非お勧めしたい一冊です。

ポーター氏が1985年に取り上げた"Value Chain Analysis"(バリュー・チェーン)の、医療業界への応用編となります。詳細が多く、基本的にアメリカ市場状況しか紹介されていませんので、100%参考になる訳ではありませんが、基本的なメッセージが分かりやすく、日本でも十分な意味をもつと思います:

1) ある薬剤の単価、ある医師の時間配分、ある機械の利用頻度など、単発のコスト削減ばかりを見るゼロ・サム競争ではなく、ある疾患で苦しんでいる患者様へ包括的に提供する価値に基づく競争が原点。

2) 患者様が病気になってからでは遅い。医療システムの全ステークホールダー(医師、看護師、薬剤師、患者、病院経営者、製薬・機器メーカーなど)が予防医療(PREVENTION)を促進させるために、自分なりにできることをやるべき。「突き詰めていえば、本来は健康な方が安上がりであるため、医療の質の向上はコストを低下させるのである。従って、健康を維持することが究極的なコスト削減になるのだ。「p.164」

3)上記のことを実施するために、業界として不足している、またはあるステークホルダーが見せたくないアウトカムデータが必要です。(私の立場からすると、この点について、日本の業界が世界の流れにかなり遅れていることは非常に残念です。)

一つのブログポストで纏められるトピックではありませんが。。。

医療関係者以外の方にとっても、医療制度の在り方やサービスは大切なことですので、是非自分の観点で本を読んで、仲間とディスカッションしてください。

翻訳の山本雄土先生は大変な仕事量をこなして、素晴らしいものを日本の医療業界に届けてくれたと思います。山本先生、お疲れ様でした!



jeffjapan at 10:29コメント(0)トラックバック(0)Pharma/HealthcareIdeas 
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