2011年02月

2011年02月25日

コーチングを前向きに活用する方法

この記事もミクスオンラインに投稿した内容です。オリジナルはここです。

www.mixonline.jp/Article/tabid/55/artid/38198/Default.aspx

ここ数年、ファーマ業界でも「コーチング」が流行しているようです。各社とも熱心に、所長やMRチームのリーダーにコーチング手法を教育していますが、残念ながらどうも現場レベルではうまくいっていないケースが多いようです。(ご自分のエリアではいかがでしょうか?)

 コーチングの導入は、年々厳しくなる環境下で売り上げを伸ばすためには絶対に必要な取り組みですが、ここでよく陥りがちな落とし穴をさけるためのヒントをお伝えしたいと思います。

まずはフィールドコーチングに集中する

 コーチングとは大まかに言うと「相手の能力に働きかけながら成果を生み出せるようサポートすること」ですが、色々な目的に応用が可能です。悩み解決のような「メンタルコーチング」、神経言語学的プログラミングの「コミュニケーション・スキル・コーチング」、生活と仕事のバランスなどを取り上げる「キャリア・コーチング」など、様々なタイプが存在します。製薬業界の営業現場では、例えば異業種から転職してきた中途採用MR、若手MR、女性MRなど、それぞれが持つ力を最大化するためには色々なコーチングが必要だと思います。しかしあえてはっきり書きますが、「メンタル」や「キャリア」の部分で「さあ、貴方がたは教育を受けたのだから、明日からメンバーのコーチングをしてください」といきなり伝えたとしたらどうなるでしょうか? コーチングする側もされる側もまるで落ち着かない雰囲気の中、とりあえず表面的な話だけをして、「やりました」という報告をして終わる可能性が高いでしょう。

 実りあるコーチングとは、双方が積極的に参加意欲を持って初めて成り立つ関係です。「キャリア」や「メンタル」といった課題の元でそういった関係を構築していくには、極めて高度なスキルと時間が必要です。ですから、是非お互い目に見える実りである「一緒に処方を取る」という共通課題からスタートするようにしてください。まずは「同行の改善」に集中することで、信頼関係のベースを作って欲しいのです。より深い、相手のモチベーションを引き出すような作業はその後にした方が良いでしょう。

同行中の「監督」意識

 弊社には「KANTOKU」と呼んでいるフィールド・コーチング・モデルがあります。今回は詳細は書きませんが、最も大事なポイントとなるのは、プレイヤーとコーチの役割をはっきりさせることです。色々な会社を見ていると、同行上の一番大きな問題は上司の「自己解決主義」にあると思われます。せっかくMR本人を観察するために同行しているのに、いざ面談に入ったらほとんど自分が話し、医師の質問や依頼にも直接答えたりしてしまうことも多いようです。こういうケースは「コーチする側」のエラーだと思いますが、コーチされるMRの立場からも、こういった失敗を防ぐ方法があります。同行日程を打ち合わせる際に、「今回はこの先生にXXXを伝えたいと思いますので、私の話法を聞いて、後でフィードバックして下さい」と事前に上司にインプットしておくのです。同行当日、面談の直前にも同じことを繰り返して上司にリマインドして下さい。成功するコーチング関係はお互いの信頼の元で構築されるものです。こういったオープンコミュニケーションを取る責任は双方にあります。“MRはフィールドに出ている選手、コーチは横から応援している存在”。このイメージを互いにしっかりと持ち、同行に出て下さい。



jeffjapan at 07:00コメント(0)トラックバック(0)Pharma/HealthcareManagement 

2011年02月04日

より深い患者フォーカスの一歩(MIX ONLINE)の記事

大分前になりますが、ミックスオンラインという業界情報サイトのために書いた記事へのリンクはまだアップしていませんでした。本文を下記に添付しました。どうぞご覧下さい。

http://www.mixonline.jp/Article/tabid/55/artid/38019/Default.aspx
公開日時 2009/10/08

激変するヘルスケアビジネスの中で日々頑張っているMRの方々や、それを支援している方々に私が感じている事をお伝えし、MR活動が更に医師や患者さんのために役立つようになってもらいたいと願って発信します。

皆様のご意見や反論を心から楽しみにしています。

製薬業界でもよく、カスタマーフォーカスや患者フォーカスといった言葉を耳にします。しかし自分がどこまで本当に患者さんのことを理解しているのか、深く考えてみたことはありますか? ご自分のマインドセットを整えるために、ひとつエクササイズを試してみてください。患者フォーカスなどの言葉に本当の意味をもたらすエクササイズです。

次回の施設訪問の際、患者様個人のイメージを頭の中で想像してみて下さい。一症例としてではなく、一患者様として考えてみた上で、情報を正確に伝える。このマインドをもつことで、担当する薬剤が果たせる貢献についてより的確な表現をすることができると思います。

B2Cのマーケティングでは、架空の個人消費者を「ターゲット(理想顧客)」として表現することが多々あります。例として、数年前に私が参加したある日系企業の米国健康食品プロジェクトを挙げましょう。環境分析を行い、大きなトレンドや競合他社との比較をはっきりさせたあと、この健康食品の理想顧客は以下のような人物であると想定しました。

「○○ブランドのターゲットは、27歳のSARAHです。SARAHは公立大学で国語を勉強したあとIT系の会社に入社し、3年間営業職でそこそこの実績をあげましたが、不満を感じて退職しました。その後レストランでバイトをしながら経理関係の資格をとり、去年めでたく会計事務所に就職。独身で、アパートは同性のルームメイトとシェアしており、結婚はまだ考えていません。ゴミの分別を試みてはいるけれど、使い切った乾電池はコンビニのゴミ箱に捨ててしまいがちです。SARAHはテニスとヨガが好きで、週末に最低一時間は運動ができないとイライラしてしまいます。」

どうでしょうか? 設定はまだまだ続き、その細かさに非常に感心してしまいました。

これだけ徹底的に、理想顧客のライフスタイルを理解しようと試みる努力は素晴らしいものです。もちろんこれはあくまで架空の「顧客」ですが、チーム一同がSARAHのために、SARAHの欲しい健康食品を作り上げ、それを市場に提供できる日が楽しみでした。チームミーティングでは「この色はどう?」という質問より、「SARAHはこのパッケージについて、どう思うだろう」というようなやりとりが頻繁に交わされていました。

あなたが毎日がんばっている仕事。それはいったい誰のためなのか、自分にとってのSARAHをイメージしてみるのはいかがでしょうか?

jeffjapan at 09:30コメント(0)トラックバック(0)Pharma/HealthcareMarketing 
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