2011年12月

2011年12月16日

患者の服薬行動:やはりアメリカ人はいい加減

adherence curves

例えば、ある患者像を考えて下さい。
42歳の男性、既婚で子供一人。周3-4回のペースでフィトネスクラブに通いウエートトレーニングをする元スポーツマン。健康そうであり、自覚症状は何もない。が、家族の病歴はかなり大変で、あらゆるCV疾患、糖尿病、甲状腺問題などが盛り沢山である。BMI26前後、ウエスト86cmの準メタボ予備軍。食生活は悪くないが、肉とビールが好きで、時に我慢できなくなる傾向が強いので、気をつけないとゆくゆくリスクが高そうだ。予防対策としてサプリメントを飲んでいる。この人に薬が処方されたら、きちんと服薬できるのだろうか。Let’s check!

 

上の図は、横軸がカレンダー、縦軸が時間で、この患者が容器から薬を出したポイントが青い点で示されているもので、一ヶ月間の服薬状況が見事に表されています。処方をもらった当日( 砲量襪鵬箸傍△辰峠蕕瓩凸瑤魄んでいますが、どうもこのとき2回容器を開けたようです。翌日朝早く家を出るので予め薬を出しておいたのかもしれません。でもその後、薬を鞄に入れることを忘れたようで、5日間のブランクが生じました(◆法その後はしばらく前朝しっかり飲んでいましたが、やはりちょこちょこ忘れたりして、それからまた別の出張かな()。その後もパターンはマチマチで、結局この一ヶ月のコンプライアンス率は54%でした。

 

しかし諦めるのはまだ早い!何かリマインダーが出されたとしたら、患者の行動は変わるのでしょうか? この場合、あるツールの使い方について改めて説明を受けた後、この患者の行動は下の図のように変わりました。

 

横軸下部の黒く塗られている部分が週末の表示なので、どうも水曜日と金曜日にまだ何か問題がありそうですが、全体的に一定の時間帯に毎日のように服薬できるようになり、コンプライアンス率は84%に上昇しました。Good!

 

もう既に想像している方もいるかと思いますが、この患者は私です。「日本人よりも日本的だ」とたまに言われることもありますが、私のようないい加減なアメリカ人でも、しっかりと指導を受ければそれなりにできるんですよ!

 

上記のようなツールはMedication Event Monitoringと呼ばれています。数か月前にヨーロッパに行く機会があり、この分野で活躍しているある会社を訪問しました。そこで作られているシステムを持って帰り、今上記のように勉強している段階です。種明かしをすると、薬のボトルキャップのなかにセンサーがあり、そのビンを開く度にセンサーが起動して記録をトラッキングしていきます。定期的にそのデジタルキャップをコンピュータにつなげれば、データ通信によりWeb上で上記のようなアウトプットが見える仕組みまで完成させています。

 

海外での主な応用場面は臨床試験だそうです。効能に影響を与えるようなことがあれば、質の悪い症例パターンとそうでないパターンをしっかりと把握して分析することができます。ここ数年間は、医療介入プログラムでも利用されることが多くなってきています。マーケターの視点で面白いと思うのは、たとえば上市後の薬剤であれば医者や薬剤師にこのようなツールを用意して患者さんに渡してもらい、定期的に結果を一緒にディスカッションするようなプログラムを作ります。可視化された材料があれば治療や服薬指導がやりやすくなり、患者さんの相談の頻度も上がるでしょう。製薬企業もWIN患者さんもWIN医療機関もWIN。しっかりとしたケアができ、アウトカムがよくなるはずだから、国だってWINになるはずWINWINの倍ですよ!面白い話だと確信しています。

 

このシステムはまだ完ぺきではないですが、特筆すべきは患者にフォーカスしていることと、「一回掴んだ顧客をしっかりとフォローする」という他業界での常識を、製薬マーケターも持てるような時代になったこと。まだまだ手探り状態ではありますが、当社ではこのよう新しい取り組みにトライする企業を一緒に応援したいと思っています。ご意見をお待ちしています!


上記の記事のオリジナルはミクスオンラインに2010年3月17日に投稿しました。

http://www.mixonline.jp/Article/tabid/55/artid/38743/Default.aspx



jeffjapan at 12:30コメント(0)トラックバック(0)MarketingPharma/Healthcare 
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